中国語に限らず、「語学は学問と言うよりスポーツに近い」と、私は良く言っています。その理由はいくつかありますが、そのうちの一つに日々使っていないと衰えてしまう部分があります。つまり口周りの筋肉です。日本語と中国語では、発音の仕方や言い回しが違いますし、日本語にない発音をすることもありますので、日本人からすると普段使わない口周りの筋肉を使う必要があります。
中国語始めたばかりは、口周りが非常に疲れます
私は骨格や筋肉の専門家ではないので、残念ながら「〇〇筋に負荷がかかって」とか具体的な部位の話はできないのですが、セッションで集中的に発音の練習をしていると口周りの筋肉が疲れるという声をちょくちょく聞きます。
そういえば昔、中国語は口周りの筋肉を良く使うから顔痩せするみたいな話を聞いたことがありました。でも私自身はずっと日常的に中国語を使っていましたので、あんまり意識してませんでした。生徒さんからそういう話を聞くようになって、改めて思い出しました。
普段使わない筋肉をいきなり使うのだから、それは疲れるのは当然ですね。私も最近娘に付き合わされてボルダリングの体験に行きましたが、普段使わない筋肉を使ったため、翌日ひどい筋肉痛に襲われました(笑)中国語も同じことです。普段からある程度使わないと筋肉は徐々に衰えていきます。きちんとした発音を維持するためにも日々発音の練習はした方が良いということです。
口周りの筋肉がしっかりしてくると発音もしっかりする
疲れるということは、まだまだ発音し続けるには筋肉が足りていないということ。始めたばかりで発音がうまくいかない人はもしかしたらその辺が影響している可能性があります。特に頭ではイメージ出来ている発音が体現できていないと自覚する時は、その傾向が強いと思います。
スポーツでもイメージ出来ていることと、身体がその通りに動くかどうかは、練習量にかかっていますよね。毎日少しずつでも発音の練習をしている生徒は、やっぱり少しずつ発音が上手になっていきます。反対に座学ばかり進めていて、聞くことはあっても発音や話す機会が極端に少ない人は、資格試験などではクリアできるかもしれませんが、会話をするという行為については、やろうと思っても出来ないという人は多いです。
日々きちんと発音練習をすることで口周りの筋肉が安定して、とっさの時にも発音できる状態になります。中国語を始めたばかりであれば、まずはこの筋肉の土台作りも大切なってきます。
特に疲れやすい(普段使わない)発音紹介
「ü」に代表される「yu」「qu」「ju」「xu」など
口を「う」の形にして、母音は「い」の発音をするのですが、日本語の「う」よりも唇を尖らせているイメージがあります。その分、唇に負荷というか力がかかります。しかも、「你去」のように、直前の「你」は口が「い」の口になるので、「い」→「う」の移行に口を素早く動かく必要があり、さらに負荷がかかります。(文字で書くとなんだかややこしい…。)試しに、「你去你去你去你去你去…」と繰り返し言ってみて下さい。慣れてない人は唇回りの筋肉ヤバくなりますよ(笑)
「e」に代表される「e」「ke」「ce」「se」など
喉の奥の方で、「う」と「お」と「あ」を合体させたようなうめき声(?)のような発音をする発音で、日本語の「え」とは全く異なります。そのため、慣れないと喉側の筋肉に負担がかかり辛くなります。
「h」を含むそり舌音、「shi」「zhi」「chi」「chang」など
中国語独特の発音方法で、舌を巻く音です。実は中国人の半分くらいはあんまり巻かない発音でもあり、巻くのか巻かないのか論争もありますが、当然これも舌を動かすため多用すると疲れます。そり舌音をちゃんとマスターしたい人は避けては通れません。
声調(四声)があるが故のメリハリ
これは特定の音ではないのですが、中国語は四声が非常に非常に大切です。会話の骨と言っても過言ではないくらい外せないのですが、この声調をしっかりと区別するために、日本語と比べ物にならないくらい高低のメリハリが必要です。意識的に、音を高くしたり、逆に低くしたりとせわしなく繰り返すため、疲れてくると1声の高い音をキープするのが辛くなったり、2声でしっかり後半上げないといけないのに3声っぽくなったりすることが多々あります。
疲れなくなったころ、発音が飛躍的によくなります
あれこれ言いましたが、結論とにかく練習すべし、と言うことです。
ウェイトトレーニングではないので、日々使っていれば自然と鍛えられる筋肉です。それくらいきちんと使っていれば、発音は本当に良くなります。このフレーズは知っているから、この単語はもう知っているから、で発音しない人が結構多いのですが、知っていようが知っていまいが、目にした中国語や耳にした中国語は全部口に出して発音するくらい口を中国語漬けにしてほしいのです。谢谢という単語一つとっても、よく発音練習している人と、そうでない人の発音の差は歴然です。是非一緒に頑張りましょう!