中国語(普通话)と台湾中国語(華語)の違いを分かりやすく解説します

中国語のコーチングをしているとよく聞かれることがあります。

「台湾で話されている中国語は中国でも通じますか?」
「台湾の中国語と中国の中国語はどこが違うのですか?」

など、同じ中国語なのに、微妙に違う両者の中国語。実は共通している部分がかなり多いのですが、一方でやはりというか、違う部分も一定数存在しています。私が台湾へ行く前は、日本ではそんなに区別されていなかった印象だったのですが、中国から帰国して本屋に行った時に中国語とは別に「台湾中国語(華語)」のカテゴリで書籍が並んでいるのを目にした時にちょっと驚いた記憶があります。

確かに両者の中国語は、全くではないけど、確実に違っています。

私は最初に台湾で中国語を学び、その後中国へ行きビジネスで中国語を使っていたため、どちらの中国語についても詳しく学んできました。中国に言ったばかりの頃は、台湾人と似たような話し方、発音をしていたので、よくタクシーの運転手に「お前は台湾人か?」と聞かれたものです。中国人にとっては、それくらい違いがあります。

両方の中国語を知っている私から、今回は中国語と台湾中国語の違いについて説明していこうと思います。

それぞれの名称(普通话/台湾華語)

どちらも中国語なので、中文(zhōng wén)って言い方が一般的なのですが、両者を区別するためにそれぞれの中国語を以下のように呼びます。

中国の中国語:普通话(pǔ tōng huà)
台湾の中国語:台湾華語(tái wān huá yǔ)

普通话は、日本語だと「ふつうご」とか、カタカナ読みで「プートンファ」とか呼ばれたりしていますね。「標準語」なんて言い方している人もいます。台湾華語は、日本語だと「はなご」とか「台湾中国語」というような呼ばれ方していますね。

表示する文字が違う(簡体字/繁体字)

かなり代表的な違いとして、そもそも文字表記が違います。

中国:簡体字(jiǎn tǐ zì)かんたいじ
台湾:繁体字(fán tǐ zì)はんたいじ

中国で使用されている簡体字は、もともと使用していた漢字の起源である繁体字を簡略化して作られた字です。日本の漢字ともまた違う簡略化のされ方をしていますので、ものによっては漢字よりも原型がとどめていないものもあります。意外と歴史は浅く、本格的に使われ始めたのは約70年前(1950年代)と言われています。

対してもともとの字として伝統的に受け継がれてきた字が繁体字です。日本の漢字も中国の簡体字もこの繁体字から派生しました。もとになった字だけあって、漢字よりも複雑な字で残っているものも多いです。

以下にいくつか紹介していきます。

日本語簡体字繁体字
聞く
書く
飛ぶ

思った以上に違いを感じた方もいると思います。でも実際は、表記が違うだけで、表している意味は一致しています。発音も例外を除き、同じです。慣れれば、どちらも同じように読むことは出来ます。

発音表記が違う(拼音/注音)

日本の漢字にも「ふりがな」があるように、中国語にも読むための発音表記があります。有名なのは中国語のテキストにもある拼音です。中国の幼稚園では、日本の幼稚園と同じく拼音から勉強を始めます。実は結構意外に思われることが多いのですが、台湾は拼音がなくて一般的な台湾人は拼音が読めません。代わりに「注音」と呼ばれる台湾独特の発音表記を使います。台湾人が拼音を読めないことと同様に、中国人も台湾の注音は全く読めません。ちなみに私も注音は全く読めません。日本で中国語勉強したときに拼音で覚えたので、注音は覚える必要がありませんでした。

簡体字と繁体字の時と同様に、拼音と注音も表記自体は違いますが、中身は同じです。発音の仕方を表していますので、どちらかを覚えていれば中国語は読めます。実際に私は台湾にいるときに勉強していましたが、拼音で学習していて何ら問題はありませんでした。

簡体字繁体字拼音注音意味
你好你好nǐ hǎoㄋㄧˇ ㄏㄠˇこんにちは
再见再見zài jiànㄗㄞˋ ㄐㄧㄢˋさようなら
谢谢謝謝xiè xieㄒㄧㄝˋ ㄒㄧㄝ˙ありがとう
对不起對不起duì bu qǐㄉㄨㄟˋ ㄅㄨ˙ ㄑㄧˇごめんなさい
没关系沒關係méi guān xìㄇㄟˊ ㄍㄨㄢ ㄒㄧˋ大丈夫です

ただし、それぞれの現地でスクールに通う場合は、それぞれの発音表記を使用しますので、注意が必要です。特に台湾の大学とかで華語を学ぼうとしたら注音を覚える必要があります。

一部の名称・表現・発音が違う

日本でも地方が変われば名前が変わるものありますよね。中国では言うけど、台湾では言わない。その逆も結構あります。参考までにいくつか紹介すると以下の通りです。

中国台湾意味
出租车計程車タクシー
自行车腳踏車自転車
地铁捷運電車
卷心菜高麗菜キャベツ
土豆馬鈴薯ジャガイモ
菠萝鳳梨パイナップル

結構違う印象ですよね。

あと、特に発音について、非常に重要で特徴的な違いがあります。それは、中国語を習ったことがある人からすれば、かなり衝撃的な事実です。

台湾には「そり舌音」がありません。

どういうことかというと、文章で説明するのはやや難しいのですが、中国語の方には「そり舌音」という舌を巻くようにして発する発音があります。拼音で表せば、「shi」「chi」「zhu」といった、間に「h」を含む発音がそれにあたります。台湾では、この「h」の部分のそり舌が完全に無視されます。

つまり、

「shi」「chi」「zhu」などの発音は

「si」「ci」「zu」の発音と同じになります。

初めて台湾でこの事実を知った時、私は本当にびっくりしました。日本で勉強してきた中国語は何だったのかとすら思いました(笑)でも面白いもので、だんだんと慣れてくるにしたがい、気にならなくなってきましたが。

ちなみに鼻母音といわれている「-in」「-ing」といった、いわゆる「g」があるないの発音の違いもかなりあいまいです。台湾なまりと言えばいいのでしょうか。

このように細かく見ると結構色々違っていたりします。

結局、お互いに通じ合えるのか?

先に結論を言えば、通じ合えます!

今はネットが普及して、それぞれの地域のドラマや情報が相互に行きかっていますので、昔以上に通じ合えます。実際に中国に行った時は、私は最初台湾系企業に勤めており、社内には中国人だらけでしたが幹部は台湾人でしっかりとコミュニケーション取っていました。

感覚的に言えば、関東の人と関西の人が同じ会社で話しているのに近いです。お互いに言っている中国語は傍で聞いているとすこーし違うのですが、お互いに何を言っているのか分かっていました。

ただ、例えば中国で全く地元の人以外と話したことない人が、突然台湾人と会話をしたら、最初の数分は戸惑いそうですけどね。あと細かい物の名前が違ってたりすると「ん?」ってなったりもします。上記で紹介したタクシーなんかも、台湾で「出租车」って言ったら通じない可能性あるし、逆に中国で「計程車」って言ったら何だそれ?って言われそうです。コミュニケーションは取れるけど、ちょっとだけ相手に歩み寄る必要はありますね。

アントハウスは普通话も台湾華語も対応可能です!

アントハウスのコーチングは、どちらの中国語にも対応できます。実際に、現在台湾の華語でコーチしている生徒も数人います。最初のカウンセリング時に「台湾の中国語がやりたい!」と言っていただければ、そちらで対応します。

両方を知っているので、「中国なら〇〇って言いますね~」とか「台湾の場合は~」とかよく余談で紹介したりしています。

是非、中国の普通话やりたい人も、台湾華語をやりたい人もご検討ください!

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