なぜ文章なら分かるのに聞き取れないのか

日本人が良く陥る状況の一つに、ネイティブからパッと何かを言われて聞き取れなかったが、文章にしてもらったら分かったというものがあります。それも聞いたこともないような難しい単語や表現ではなく、自分でも「なんでこんな簡単なフレーズも聞き取れなかったのか」と驚くくらい簡単なものだった場合が結構多いのです。実は私自身もはじめはこの状況にハマってしまった時期があります。台湾に行ったばかりの頃、何度聞いても分からなかったので、書いてもらったら「我要上班」とありショックを受けたのをよく覚えています。半年くらい勉強していて中国語検定3級くらいの単語と熟語は出来ているはずの頃です。もうメチャクチャ悔しかったです。

目と耳で入る情報ルートが違う

人間の脳は、何かを認知するために毎回検索をかけています。例えばリンゴを「見た」とします。目で見た映像を脳に送り過去に見た映像と照らし合わせます。その中で、見た目のリンゴと同じようなイメージ情報を見つけて「ああこれはリンゴなんだな」と認知します。今度は誰かが「リンゴ」って言ったのを「聞いた」とします。すると脳は「リンゴ」の響きから脳内で検索をかけます。ここで該当する響きと同じ音から連想してリンゴを認知します。

中国語で見ると分かるが聞き取れないフレーズや単語は、その認知を目でしか行なっていないために起こる現象です。響きの情報が脳にないため、耳からの信号で検索をかけることが出来ないのです。ピンインは知っている、けれど実際に耳で聞いて認知する頻度が圧倒的に少ないと、いざその言葉を耳にしてもピンとこないという風になってしまいます。リンゴの例で言えば、リンゴの文字や絵は見て馴染みがあるが、リンゴという音の響きと頭にあるリンゴのイメージが一致していなければリンゴと認識することが出来ません。

読み書きだけをいくら頑張ってもダメ

資格試験を対策だけして合格する人がいます。それはそれでいいのですが、そういう人は大抵話せません。基本的にテスト対策だけだと読み書きばかりしていて、知識はあるけど使いこなせないことが多いです。日本人は座学が好きな人が多いですが、座学ばかりしていても語学は上手にはなれません。台湾に行ったばかりの私もまさにコレでした。圧倒的に聞く練習と話す練習が足りていませんでした。耳での検索ができない状態ですと、何十回聞いても分からない言葉は分かりません。ひたすらに音と知っている中国語をリンクさせる必要があります。

具体的に何をしたら効果が出るか

私の経験上、「言えない言葉は聞くことができない」です。言うことができない音は、脳が雑音と判断しますので拾うことが難しいです。逆に言える言葉は聞くことが出来ます。小さいころ、というか今でもですが、音楽の歌詞を一度で聞き取れた試しがありません。私だけの特性なのかも知れませんが、音楽の歌詞はひたすら聞きこんで、歌詞カードをなぞって自分でも口ずさんでみて、ようやく何を言っていたのかが分かりました。それと同じで、中国語も何度もフレーズの発音を聞いて、自分でも発声してみて、自分に染みついてきたなと思った言葉はものすごく簡単に聞き取ることが出来ました。座学の勉強とは違い、スポーツの反復練習に近いものでした。

シャドーイングが最も効果がある

コーチングでも指導しますが、一番力がつくなと思ったトレーニング方法が「シャドーイング」でした。最終的にはこれしかないぐらいに効き目が高い方法でした。

シャドーイングとは、音声に1テンポ遅れて発声するやり方です。影のように話している人と同じ内容を追っかけながらひたすらにマネしていく方法です。やってみると分かりますが、内容が聞き取れないと全然出来ません。はじめはテキストを見ながらでも難しいと思います。とにかく話している人が早すぎると感じますが、少しずつ練習して言えるようにしていきます。一度では絶対にできません。何十回と聞いたりゆっくり発音してみたりして慣らしていきます。そうやってようやくシャドーイングが出来るようになったなと思った時、それはすでに完全に聞き取りが出来るようになった証でもあります。言えないことは聞くことができない、その反対に「言えるようになったことは聞くことができるのです」。

シャドーイングの良いところは、自分の発音の矯正が自然とされることです。耳で聞こえたことをそのままに話すので、いちいち「あれ?この単語のピンインは何だったっけ?」とか「この四声はどっちだった?」とか思い出す暇はありません。瞬間的に口にするので、発音が間違うと自分で違和感に気づきます。そうなると面白いもので、ある単語の四声を忘れてたとしても口に出してみると「ああ、これ2声だったか」と、口や耳が覚えててくれたりします。

シャドーイングは内容選びが肝心

コーチングでは、その人のレベルと目的にあった教材でシャドーイングを指導します。シャドーイング自体のやり方ももちろん教えますが、もっと大事なのはどんな内容をシャドーイングするのか、です。無理にレベルの高いものを急にやっても心が折れるだけですし、目的に沿った場合に、どんな分野の内容にするのかも重要です。あと、どれだけの量をどれくらいの回数重ねるのかなど、一人で行うには分からないことも多いかと思います。一人ひとりにマッチしたやり方をコーチングでは提供しますので、是非一緒に頑張りましょう。

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