記憶力に自信がなくても脳を騙して長期記憶にする方法

皆さんは記憶力に自信がありますか?私は全くありません。生活の上で忘れ物をすることはしょっちゅうありますし、妻がビックリするほど私はすぐ忘れます。まさに「丢三落四」、中国語の成語で忘れっぽいという意味です。特に人の顔を覚えるのがとても苦手で一度しか会っていない人はほぼ覚えられません。すでに歳も40歳オーバーしていますので、若い時より更に覚えは悪いと自覚しています。

そんな私ですので、勉強ではいつも苦労していました。中国語を覚えるときも、覚えた矢先からドンドン忘れていってしまうので、覚え方の工夫というか、どうやったら効率のいい覚え方が出来るのかとずっと考え続けていました。

短期記憶と長期記憶

ご存じの人も多いと思いますが、記憶には短期記憶と長期記憶があります。大脳皮質がどうとか海馬がどうとか専門的な話はここでは割愛します、ムズイので。簡単に言えば、数秒~数分の間だけ情報を保持する記憶が短期記憶、数日~生涯まで情報を保持している記憶が長期記憶ですね。情報は最初に短期記憶に入り、必要な情報が長期記憶に移動するプロセスを経て、永続的な記憶として保存されます。つまり覚えた短期記憶のうち、脳が必要と思った情報が長期記憶になります

ここに重要なヒントがあります。私たちが覚えたいと思った情報であったとしても、脳が重要でないと判断した情報は長期記憶化されません。これは裏を返せば、覚えたくないと思った情報であっても脳が必要と感じれば、それは長期記憶化されるということです。極端な話、脳を騙してでもこれは必要な情報だと思わせれば、嫌でも覚えてしまいます。これを利用するのです。

脳を騙すためのテクニック

色々な手法がありますが、ここでは代表的な3つのアプローチを紹介します。細かい理論などの説明は省きますが、きちんと効果が立証されている方法です。

反復学習 (Repetition)

情報を繰り返し復習する学習法です。情報を一度学んだ後、一定の時間間隔をおいてその情報を再度学ぶことを繰り返すことで記憶の定着を狙う方法です。割と古典的で広く知られている方法です。学生の頃に単語カードを使って勉強していた、なんて人もいるのではないでしょうか。何回も同じ情報が脳に来ると、脳は今後も(長期にわたって)必要になってくる情報と認識しますので、長期記憶になります。

ここで、ちょっとよく間違える方法を紹介します。特に学生さんがやってしまうのですが、例えば漢字の勉強をしている時に、ノートにひたすら「曖昧」「曖昧」「曖昧」「曖昧」・・・と同じ字を連続で書いているのを見かけますが、これは反復になっていません。短期記憶に残っている内に重ねて情報を入れても脳はこの瞬間に必要な記憶としてしか認識しません。反復をするのに大切な工程が抜けています。大切な工程とは「忘れる」ことです。完全に記憶を喪失するという意味ではなく、一定期間たった後に「あれ?なんだっけ?」と思い出すぐらいの忘れです。短い間に連続でやっても反復にはなりません。目安として1時間~1日おいてもう一度やるのが正しいスパンです。漢字の例で言えば、「曖昧」を4回連続書くよりも、4日に分けてそれぞれ1回ずつ書く方が格段に記憶に残ります。

エピソード記憶 (Episodic Memory)

エピソード記憶は、情報をエピソードや物語として捉える学習法です。情報を特定のストーリーや出来事と結びつけ、それを通して情報を記憶することを指します。これは体験を通じて覚えることも含みます。旅行に行った時の記憶が、日常起こったことよりもよく覚えているのはこのためです。地理の教科書で覚えるよりも現地に行った方が覚えがいいのもそうですね。脳は単純な情報の羅列よりも、ストーリー性のある内容に沿った情報の方がすっと定着します。

関連ワードとの紐づけ (Association)

関連ワードとの紐づけは、新しい情報を既存の長期記憶と結びつける学習法です。情報に関連するキーワードやコンセプトを活用し、情報の意味や関連性を強調します。これにより、情報の保存と取り出しをしやすくします。例を挙げます。

「バッグクロージャー」ってご存じですか?

もし知らないとしたら、このバッグクロージャーって言葉を単に覚えることを意識してみて下さい。

どうですか?

バッグクロージャーという言葉しか情報がないと結構頭に入ってきませんよね?

実はこれ食パンの袋を閉じている「Σ」みたいな形をしている留め金です。え、あれってそんな名前だったの?って思ったと同時に、形の映像と食パンを留めるやつが情報に加わったことで覚えやすくなったと思います。すでに知っている情報に紐づけされた瞬間です。それでもバッグクロージャーの名前は忘れてしまうかもしれませんが、単品で情報を覚えるよりもはるかに覚えやすかったのではないでしょうか。

中国語学習に応用するとこうなる

具体的に中国語学習に応用するにはどうしたらいいのでしょうか。さきほどのテクニックを踏まえた上でのオススメの学習方法を教えます。

自分ノートをつくる

私がそうなのですが、単語帳を買ったところで全くやれた試しがありません。根が勉強に向いていないのか、全然手を付けられません。それよりも中国語に触れている際、例えば中国ドラマを見るとか、中国サイトを閲覧するとか、中国人とチャットする際に知らない単語に出会ったとします。それらを片っ端からノートに留めておくのです。だってその言葉は自分が生活する上で出会った言葉なのですから絶対に必要な言葉のはずです。しかも、どういう経緯で出会った言葉なのか流れがありますので覚えやすい言葉です(エピソード記憶)。そのオリジナルノートを使って一定期間ごとに復習を行なうのです(反復学習)。しかも、その時に追加された単語やフレーズは似たような場面で出会った言葉なので関連性も高いです(関連ワードと紐づけ)。私も自分ノートを作っていました。

実践の場をつくる

これはある種当然の話なのですが、実践経験に勝るものはありません。うろ覚えの単語やフレーズも実際にネイティブにぶつけると、それが合っていても合っていなくても強烈な印象として残りますので、一人で学習するよりもよっぽど効率的です。私も気持ちは分かりますが、恥ずかしがったり、間違いを恐れて実践するのを避けるのは本当に勿体ないです。どのみちネイティブではないのですから、間違えても全然オーケーです。ネイティブも間違っていたらきちんと訂正してくれますし、そのエピソード自体があなたの糧になります。語学が上手な人はたくさんの間違いを平気でぶつけてきた人です。恥をかいた分だけ(実際は恥ではないですよ!)語学は上手になります。(参考:【 中国で見た話せるようになった日本人の特徴 】)

シャドーイングを行なう

前回の記事でも触れましたが、シャドーイングは非常におススメです。シャドーイングは音声教材の発音に沿って自分も発音していく練習法ですが、シャドーイングできるようになるまで教材のフレーズは何度も繰り返し練習するようになりますし(反復学習)、音声と文字と意味を関連付けてフレーズごと覚えますので(関連ワードと紐づけ)、自学で進めるにはかなり効果的な練習法となります。また、発声練習も同時に兼ねますので、そういった面でもおすすめポイントです。

コーチングではあなたの学習をサポートします

これらの学習方法はホンの一例です。一人ひとり学習のしやすさや生活スタイルも異なります。また、一人で学習を続けるのも結構大変です。コーチングではそれらのサポートを強力に行なうことができます。一人では越えられない壁も一緒なら越えられるかも知れません。もしも学習に行き詰っていたら、一度ご相談下さい。

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